NHK取材班がまとめたこの本は少し前に買って読み、それなりにかんがえさせられることがあった。しばらく忘れていたら今日の朝日新聞の読書欄に「高学歴ワーキングプア」(水月照道著)が取り上げられていた。博士でフリーターが12000人以上だそうだ。
大学に就職するための苦労は今の日本ではそれは大変なことである。一度定職である常勤講師、教授などになると、引き抜かれて辞める場合を除いて、ほとんど辞めることはない。苦労の末につかんだ定職であるからやめにくいし、スタートが大学同期にくらべて10年遅れであるから、結婚や子育てを考えると安定志向に入るのは当然である。
しかし、大学卒業後に院に入り助手を経由して定職をゲットするいわゆる通常にルートを歩んできた40歳以上の人にとってさえも、平成博士の立場は少しゆがんで映るかもしれない。国策としての大学院の充実という政策は理解できるが、就職受け皿となる大学や企業、シンクタンクには国策など全く関係はない。特に企業にとっては金になる人間かどうかが全てである。
僕自身大学進学率がここまで進んだ時代には院卒がこれからのエリートの標準になるようには感じるが、それは個人の才能と目的と手段が正しかったときに企業にアピールするものである。大学はどうか。。この13年、少なくとも僕がお世話になってからは、採用基準も教員の意識もあまり変わったとは思わない。新規採用をWEBで募集などというのは形式的にはあっても、採用する側が全く変わっていないのだから、どこか密室で決まるような気がしてならない。
また大学が生き残りをかけているときには、経営的には非常勤で採用(給与)、義務(もちコマ)は常勤並みというのが効率的であるので、常勤が辞職してもすぐにカンタンに法人がOKするということもない。法人サイドにいる旧態以前としたその教員にこそさっさと辞めてもらいたいのに、その彼らが辞めることはない。
大学の変化に対しても文科省は役所的な態度で臨んでくるから、全てが許認可による日本社会では思い切った改革が進まない。だがこれではいけないと感じて、様々な手段で規制に立ち向かう渡辺美樹さんのような方がもっともっと出てきてくれることを期待して、せめて今の院生に伝えたいメッセージがあります。
法政のK先生がある経済誌で、大学院に進んで教員になる学生は一般的に①社会的に適応能力がない、②体力的に就職できない、③勉強が大好きでたまらない、の3つに分類できるといわれているが、③に該当する人間にはついぞ出会ったことがない、と仰っていた。
博士を目指す人に僕の短い経験からお伝えしたいメッセージは、大学に残るという選択肢は受け入れ側にまだその準備が整っていない、専門職で食べていくリスクは高いと決め常に二足のわらじを用意する覚悟をして院に進むこと、将来チャンスがめぐってくるという計画を持ち続けること。二足用意するのは、その比率が徐々に変わっていけばよいという覚悟ができるからである。
そして最後に博士過程程度の知識と経験で一生食べれるほど世の中は甘くないということを肝に銘じるべきである。末は博士か大臣かという時代もあったが、総理が安倍程度でもなれる時代である、ましてや博士など、そんなに思い入れるほどのものではないということだと僕は思います。リスク管理もできないといけません。そして大学は外から見るほど民主的ではありません。20年間一本の論文も書かないどうしようもないあほでも70歳までしがみついて、それを首にもできないんですから。したたかに戦ってください。
応援します!
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