2006年06月18日
シンドラー社の対応と日本的謝罪
法的にも大学での教材としても今回のエレベーター事件は奥深いものがあります。
会社には法務という部署のほかに広報という重要な部署があります。今回の事件に関しては、製造物責任法、民法の不法行為、当事者間の契約に絡む契約法、など様々な法律問題が関係するので、シンドラー社としてはなによりもまず法務部門のイニシアティブの下、行動すべきであることは明白である。
そこに登場したのが日本の狂騒的なジャーナリズム関係者様さま、「インタビューに答えろ!」「会見をひらけ」「謝罪しろ!」 全くテレビカメラの暴力である。秋田の小学生殺人事件で、松本サリンのマスコミの勇み足が引きこした社会問題・法的問題・道義的問題を少しは思い出したか、フラストレーションたまる取材活動の鬱憤を晴らすかのような、シンドラー出て来い!!コールを連発している。
あいもかわらずカメラの前で高島君よろしく「もーーーしわけございません」の頭下げ。何度見たことかこの光景。今こそシンドラー社の広報の実力が試されている。法律問題は今後時間をかけて法務が対応してゆく。設計の基本的なミスであれば会社の責任は全面的だろうし、契約の中身を精査しないとコメントはできないが、メーカーとしての責任が皆無というのは考えにくい。純粋に保守のマニュアルミスということもありうるが、保守ミスでブレーキが働かないということはありえない。そこには「ドアが開いたまま移動する」など起こってはいけないことが起こるという基本設計のミスがあると推定されるからだ。
しかし同社の広報戦略にはマスコミエキセントリックな日本という国でいかに対応すべきか、まったく見えてこない。謝罪は責任の表明になるのか、ならないのか、そこでのコメントはどうあるべきか、早急な対応が見えてこない。国ごとに異なる広報戦略は少なくとも現在まではシンドラー社にはない、と判断せざるを得ないこれまでの対応である。世界2位を誇る会社としてはお粗末極まりない。
大事なことは「ミスを犯して人命を失ったが、事後対応に関しては一流であった」と言われる企業対応というのはあまりお目にかかれない。
最近の学生はたいした思いをめぐらすことなく、「広報やりたーーい」「PRの仕事が面白そう」などと軽口をたたくが、広報はそれはそれは重要な仕事であり、特に法学部出身者の役割は重要であると感じる数少ない部署であるように思うのである。
2006年06月18日 12:02
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